日本血栓止血学会誌
Online ISSN : 1880-8808
Print ISSN : 0915-7441
ISSN-L : 0915-7441
第4回Daiichi-Sankyo Symposium for Thrombosis Update
【画像】生体分子イメージング手法による慢性炎症病態の解明:肥満脂肪組織と血栓症
西村 智
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 21 巻 4 号 p. 447-451

詳細
抄録

われわれは高速共焦点レーザー顕微鏡を用いた高時間・空間解像度の生体内分子イメージング手法を新たに開発し,マルチカラーで生体内での細胞動態や末梢組織の詳細な三次元構造の可視化手法を開発した.本手法により生体内の単一血小板の細胞動態が解析可能となり,多色化により複数の細胞種の連関も明らかになった.レーザー傷害による血栓形成モデルと組み合わせ,血小板機能に異常をきたす各種遺伝子改変動物における血栓形成過程を観察し,遺伝子改変と生体内での血小板機能の関係を明らかにした.さらに,本手法を脂肪組織に適応し,メタボリックシンドロームの病態を検討した.肥満脂肪組織で,脂肪細胞分化・血管新生が空間的に共存して生ずることを示し,さらに,微小循環において炎症性の細胞動態が生じていることを明らかにした.脂肪組織の間質には多くのリンパ球が存在し,肥満に伴い,CD8陽性T細胞が増加していた.このCD8陽性T細胞は肥満脂肪組織における炎症とマクロファージの浸潤を引き起こしていた.

著者関連情報
© 2010 日本血栓止血学会
前の記事 次の記事
feedback
Top