2018 年 29 巻 1 号 p. 28-34
要約:血栓性疾患や出血性疾患の診断および治療には臨床検査が重要な役割を果たしている.多くはクエン酸Na を用いた血漿を用いた測定であるが,様々な要因によって検査結果は偽値を示す.影響を与える原因として,抗凝固剤など使用されている薬剤の影響があるとともに,採血法や検体処理など臨床現場や検査部門に起因する場合がある.さらに患者のヘマトクリットや免疫グロブリンなど,一見凝固系検査に関連がないように思われるものが影響を与える場合もある.検査部門のみならず臨床現場の医師なども検査に影響を与え得る因子について理解を深めることが,正確な診断および治療につながり,患者予後の改善に寄与するものと思われる.