日本血栓止血学会誌
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特集:血小板増加症
血小板増加症と血栓症
橋本 由徳
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2021 年 32 巻 4 号 p. 383-388

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抄録

血小板増加とは一般的に血小板数が40~45万/μL以上を指すことが多い.生理的および病的に血小板数の増加を生じ,後者はさらに腫瘍性(一次性)と反応性(二次性)血小板増加症に分類される.一次性の主体は骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms: MPN)であり,特に真性赤血球増加症や本態性血小板血症(essential thrombocythemia: ET)による血小板増加と血栓症の関連が以前から取り沙汰されている.高齢および血栓症の既往は,MPN患者において確立された血栓性イベントのリスク因子であるが,血小板増加と血栓性イベントとの関連性は近年疑問視されており,むしろ出血のリスクと相関することが報告されている.またET患者における細胞減少療法による血液学的奏効と血栓性イベントの低減には一様な相関が証明されていないのが現状である.血栓症の要因は多岐にわたり,絶えず変動する血小板数の血栓症リスクに及ぼす独立した影響を評価することには限界があることを理解しておく必要がある.

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© 2021 日本血栓止血学会
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