2024 年 35 巻 1 号 p. 45-51
リハビリテーション治療は血友病性関節症(以下関節症)の機能を改善し疼痛を軽減させることができる.入院を要するような出血の後や関節の観血的治療に伴ってリハビリテーション治療は行われてきた.血友病治療の進歩により出血頻度が減り患者の取り組む身体活動の幅も広がったことで,リハビリテーション診療も進行した関節症への対応から関節症の進行予防や身体活動が行える身体づくりへと変わってきている.近年重要視されている関節症の早期発見に定期的な関節の理学所見評価は欠かせなくなってもいる.関節を安定させる筋力,生理的で滑らかな関節の動きと可動域,固有感覚の学習と正しい運動制御などの獲得を基本とし,装具や物理療法,有酸素運動などを組み合わせた包括的プログラムが有効である.