2024 年 35 巻 1 号 p. 52-59
ここ最近の血友病治療の進歩は目覚ましく,2014年以降次々と半減期延長製剤が発売,その後non-factor製剤として凝固FVIIIの構造を模倣し,その凝固因子活性を代替するバイスペシフィック抗体であるemicizumab,2023年にはVWFの相互作用により生じる半減期上限の課題を解決し,週に1回投与でトラフ15%以上を保つことが可能なエフアネソクトコグ アルファ,rebalancing therapyとして抗TPFI抗体であるconcizumabも承認された.半減期延長製剤は,頻回の静脈アクセスの課題を軽減,non-factor製剤は血管アクセスの課題だけでなく同種抗体の課題も解消した.現在,遺伝子治療やrebalancing therapy,改良されたバイスペシフィック抗体の開発も進んでおり,血友病患者が非血友病患者と同様の身体的・社会的活動を可能にすることが出来るようになるのではないかと期待する.
血友病は,X連鎖潜性遺伝形式を示す先天性の出血性疾患であり,凝固第VIII因子(FVIII)の量的・質的異常の血友病AとFIX異常の血友病Bからなる.FVIIIとFIXは,FXを活性化する反応系に必須である.出血時にFVIIIは,微量のトロンビンによって限定的に分解され,開裂し,VWFから遊離して活性型FVIII(FVIIIa)になる.そのため,FVIIIやFIXが欠乏しているとFXの活性化が大きく損なわれ,トロンビン産生,フィブリン産生が障害されることになる.血管の破綻部位に形成される血小板血栓は,フィブリンにより安定化されるが,血友病患者はこの血栓が安定化しないまま流血中に剝離しやすく,重大な出血傾向が出現する.血友病患者の出血の特徴は,関節内や筋肉内という深部出血を反復することである.重症血友病患者の約半数は,生後6~8か月に筋肉内出血や皮下血種で診断される.関節内出血は,歩行が始まる1歳以降からみられるようになり,足関節や膝関節に多い.関節内出血を反復するとヘモジデリンが沈着して滑膜の変性や炎症が進行し,慢性滑膜炎の像を示すようになる.血友病関節症が進行すると関節軟骨が萎縮して関節裂隙が狭少し,やがて非可逆的な骨の変形と破壊に至る.この血友病関節症は患者のQOL低下につながるため,発症させないために治療は大きく変化してきた.血友病患者の治療ははじめ,出血時に凝固因子製剤を投与する出血時補充療法であったがその後定期的に輸注することで出血回数を劇的に低減する定期補充療法へと移行した.定期補充療法は,出血回数を減少させるだけでなく,乳幼児期早期から開始することで出血を知らない,関節障害を知らない患者も生み出した.2000年頃から血友病患者の標準的治療として普及してきた定期補充療法も製剤の進歩により,血友病患者の生活を大きく変化させた.最近の患者は,カテゴリーの高いスポーツをも躊躇することなく行う患者も見られるようになってきた.
定期補充療法は,2007年にManco-Johnsonらの非盲検無作為試験(Joint Outcome Study: JOC)により一次定期補充の有効性が証明されて以降,国内でも重症型血友病患者を中心に行われた1).図1に示すように1990年代から次々と遺伝子組換え型製剤が発売され,輸注間隔を広げて注射の負担軽減を目的に半減期延長製剤も2014年から発売になり,現在では血友病A,Bともに重症患者の90%以上で,非重症患者でも約35%の患者で行われている2).以前の定期補充療法の目標トラフレベルは,1%を超えて重症を非重症にすることであったが,2020年にJOS試験の追跡調査結果(Joint Outcome Continuation Study: JOS-C)で,一次定期補充療法を継続してもMRI関節評価で関節症が認められる症例がいることも報告3)され,従来の定期補充では不十分であることが示唆され,より高いトラフを目指すようになっている.

血友病製剤の進歩(筆者作成)
2014年にFc蛋白融合型FIX製剤,2015年にFc蛋白融合型FVIII製剤が発売されて以降,peg化FVIII・FIX製剤,アルブミン融合型FIX製剤が次々と発売された.半減期は,EHL-FVIII製剤で標準製剤(standard half-life: SHL)の約1.5倍,FIX製剤は約3~5倍である.2016年に英国血友病センター医師協会(UKHCDO)が発表したEHL製剤使用ガイダンス4)では,過去に凝固因子製剤使用歴がない(previously untreated patients: PUPs)あるいは使用が50回未満の患者にはEHL製剤の使用を勧めにくいとされていた.その後PUPsでのインヒビター発生率は,SHL製剤と比較して同等であることが報告され5–8),PUPs症例も含め定期補充療法にEHL製剤が多く使用されている.SHL-FIX製剤は,週に2回の投与であったが,EHL-FIX製剤は,1週間,10日,2週間に1回の投与間隔で投与可能である.現在EHL-FIX製剤は3剤発売されているが,回収率,半減期には少し違いがある.FIX製剤は,投与されると5分以内に約80%は血管外に分布すると言われている.しかしpeg化製剤,アルブミン融合型製剤は分布容積が小さく血管内に留まるため,in vivo recovery(IVR)の中央値が今までのSHLでは1 IU/dL per IU/kgであったのに対し,1.18~1.7 IU/dL per IU/kgと高く,トラフのFXI活性も14~21%であった.一方Fc蛋白融合型製剤は,分布容積が大きいため投与後血管外に分布するため,IVRは1.0 IU/dL per IU/kg,トラフのFXI活性は2.1%であった9).条件が違うため試験結果の直接比較は出来ないが,各臨床試験の年間出血率(annual bleeding rate: ABR)を比較してみても大差はない.World Federation of Hemophilia(WFH)ver3のガイドライン10)にも,血管外分布を考慮することと書かれており,FIX製は,半減期だけでなく血管外FIXの変動も考慮する必要がある.FVIII製剤は,内因性von Willebrand factor(VWF)と結合して安定化する一方,その半減期の上限がVWFにより規定されてしまうため,EHL製剤の半減期も約15時間程度である.EHL製剤で定期補充療法を行う場合は,投与用量・方法は各製剤で異なるが,保険上の投与方法は週に2日ないしは3日に1回であった.しかし,2023年6月にルリオクトコグ アルファ ペゴルが週に3日や隔日投与が可能になり,投与方法の選択肢が増えた.また,2023年9月にはVWFの相互作用により生じる半減期上限の課題を解決すべく,内因性VWFに結合しないようその部位にあらかじめVWFのD’D3領域を共有結合させた新規FVIII製剤のエフアネソクトコグ アルファが承認された(図2).12歳以上の重症血友病A患者を対象にした第3相試験(XTEND-1試験)は,前観察研究中に定期補充療法を行っていた症例でエフアネソクトコグ アルファ 50 IU/kg 週1回の定期補充療法に移行した患者において,ABR中央値は0,推定平均ABRは0.71であった.平均ABRは前観察研究中の2.96から0.69に低下した.半減期は47時間,FVIII活性>40%の時間は98.2時間,168時間後のトラフ値は15.2%であった11).しかし,エフアネソクトコグ アルファは,合成基質法では0.8 IU/mLに対し2.158 IU/mL,0.2 IU/mLに対し0.530 IU/mL,0.05 IU/mLに対し0.136 IU/mLと270,265,271%と高値に測定された.凝固一段法でも,試薬間の差があることが報告12)され,使用時には注意が必要である.また,PUPs試験は行われていないため,今後症例の集積が期待される.

エフアネソクトコグ アルファの分子構造(文献11より引用)
内因性VWFに結合しないよう,その結合部位にあらかじめVWFのD’D3領域を共有結合させている.
Non-factor製剤は,凝固因子製剤ではない血友病治療薬である.作用機序として,図3のように主に2つのアプローチがある13).一つは凝固FVIIIの構造を模倣し,その凝固因子活性を代替する二重特異性抗体で,インヒビターの有無は問わないが血友病A患者のみで使用可能である.もう一つは,止血のrebalancing therapyと言われ生体内に存在する凝固制御因子(tissue factor pathway inhibitor:TFPI,アンチトロンビン;AT,プロテインC;PC,プロテインS;PS等)を阻害もしくは低下させることにより,出血傾向に傾いた血液を血栓傾向に補正(図4)して結果的にトロンビン生成を増加させるものであり,血友病A,B,インヒビターの有無を問わず使用可能である14).

Novel hemophilia therapies presented by their mechanism of action in the coagulation cascade.
(文献13より引用)

Rebalancing therapy(筆者作成)
Rebalancing therapyは生体内の凝固制御因子を阻害もしくは低下させることで出血傾向に傾いた血液を血栓傾向に補正する.
凝固FVIII機能代替二重特異性抗体は,活性型FIX(FIXa)とFX双方に結合することによりFVIIIの凝固活性を代替するモノクローナル抗体である.インヒビターの有無に関わらず,FVIIIが欠乏している血友病A患者で効果を認める.emicizumabは半減期が30日程度と長くまた皮下注射のため,投与回数を減らすことが可能でかつ静脈穿刺の必要がないことが大きな特徴である.emicizumabの第3相臨床試験15)(HAEVEN 1~4試験),12歳未満のインヒビター非保有重症患者に2週に1回もしくは4週に1回投与(HOHOEMI試験)では,ABRは0.2~2.9であった.emicizumabの止血効果はFVIII活性で15%程度に相当すると推定16)されており,すべての出血が抑制できるわけではない.そのため身体活動及び出血イベント,日常生活の質,安全性を評価する多施設共同前向き観察研究(TSUBASA study)が行われ,2023年のInternational Society on Thrombosis and Haemostasis(ISTH)で中間解析が報告された.有効性解析集団100例の解析では71例で866件の運動が行われ,運動に起因した出血は2例4件であり,emicizumab定期投与中の患者は運動に伴う出血リスクは低下する可能性が考えられた.また,小児患者におけるemicizumabの長期安全性と関節に与える影響を評価するAOZORA試験が行われ,中間解析報告が行われた17).HOHOEMI試験から参加した患者,観察期間が比較的短いという限界があるが,10例に対する3年間のemicizumab投与では新たな懸念は認められず,病的関節であった13関節のうち,10関節の改善が認められた.Emicizumabの投与方法については,日本血栓止血学会の血友病止血治療ガイドライン補遺版18)に詳細は記載されている.
(2)ConcizumabTissue factor pathway inhibitor(TFPI)はKunitz型セリンプロテアーゼであり,FVIIaを阻害するK1ドメイン,FXaを阻害するK2ドメイン,PSと結合するK3ドメインを介して,組織因子(tissue factor: TF)による凝固開始経路を阻害する.抗TFPI製剤は,TFPIの働きを阻害することで結果的にトロンビン生成が回復し,出血傾向を抑制することが期待されている製剤であり,Concizumabは,K2ドメイン特異的モノクローナル抗体である.インヒビター保有の有無を問わず,血友病AおよびB患者に使用可能である.1日1回の皮下投与で,ペン型デバイスを用いた製剤である.第3相試験であるExplorer7/8試験中に,3人に非致死性の血栓塞栓性イベントが発生したため,2020年3月に一時試験治療は停止された.その後の検証でConcizumab血中濃度が患者間でばらつきがあったことから,初日に負荷投与として1.0 mg/kgを投与,翌日からの維持用量を0.2 mg/kgに減量(中止前は0.25 mg/kg),投与4週後にConcizumab血中濃度を測定し,投与量の調整を行うガイダンスを作成し再開された.Explorer7のABR平均値は,オンデマンド投与群とConcizumab投与群はそれぞれ11.8と1.7でありABR減少率は86%であった19).2023年9月に12歳以上のインヒビター保有血友病AならびにB患者に対し承認された.
現在承認されているconcizumabの他にMarstacimab,MG1113などが開発進行中である.Marstacimabは,K2ドメインに結合しTFPIとFXaとの結合を阻害するモノクローナル抗体である.300 mgの皮下注射で有効血中濃度>5 mg/mLを7日以上維持できることが示され,第2相試験では週1回のプロトコールで行われた.第2相試験は,週1回の300 mgまたは,300 mgの負荷用量の後,週1回の150 mg皮下投与が行われ,18名が試験を完了した.両コホートでのABR平均値,中央値は0~3.6,0~2.5,血栓性事象は発生していない.第1相試験では高率に認められた抗薬物抗体は,認めなかった20).Marstacimabは,現在小児患者(18歳未満)に第3相試験が行われている.
(2)AT-small interference RNA; siRNA(Fitusiran)アンチトロンビン(AT)は,肝臓で産生され,血液凝固系プロテアーゼのうち主にトロンビンとFXaおよびFIXaを標的として結合し機能を阻害することで,凝固抑制作用を呈する凝固抑制因子である.ATが欠乏すると,凝固抑制作用が低下し血栓傾向となり,血栓性素因を併発している血友病患者で,重症度が改善することが示唆されている21).そのため,肝臓でのAT産生を抑制しATを低下させることで,血栓傾向に補正し,出血傾向を抑制するrebalancing therapyである.Fitusiranの臨床試験では月1回の皮下投与でAT血中濃度レベルは80%以上減少,トロンビン生成が増加し,インヒビターの有無に関わらずABRが激減した22).しかし,第2相試験の中間解析後に血栓塞栓症による患者死亡が発生し,一時試験が中断された.急性出血時の止血マネージメントのガイドライン23)が作成され再開された.12歳以上のインヒビターの有無を問わない血友病AまたはB患者を対象とした第3相試験は,6か月の既存予防治療歴がある患者を対象に行われ,既存治療薬投与期間とFitusiran投与期間でのABRを主要評価項目とした非盲検一方向クロスオーバー試験24)である.65例で評価が行われ,既存治療薬ではABR中央値4.4,Fitusiranでは0,Fitusiranの出血ゼロの割合は41例,63.1%であった.重篤な有害事象は,2例(3%)に血栓塞栓症または血栓症の疑いが報告され2度目の試験中断となった.再度プロトコールの見直しが行われ,現在は隔月投与に変更され第3相試験(ATLAS-PPX)が継続中である.小児試験は12歳未満のインヒビター保有血友病AまたはBの小児患者を対象に,用量設定を主目的としたATLAS-PEDが行われている.AT-siRNAとして2023年11月の段階で承認されている薬剤はない.
(3)Mim8Mim8は,emicizumab同様FIXaとFX双方に結合することによりFVIIIの凝固活性を代替するヒトIgG4バイスペシフィック抗体である.インヒビター有無に関わらず,FVIIIが欠乏している血友病A患者で効果が期待される.臨床試験(FRONTIER試験)は,第1相試験では健常被験者を対象に単回投与が行われ,半減期は30.4日であった.第2相試験では先天性血友病A患者42例を対象に反復用量漸増投与が行われた.血漿中目標濃度1 μg/mL.3 μg/mL,9 μg/mLの週1回(コホート1~3),血漿中目標濃度9 μg/mLを月1回の皮下投与(コホート4)で12週間治療継続した.週1回投与群では,8例に15件の出血がありうち6例,13件がコホート1の症例であった.コホート2,3は,25例中2例,2件で出血を認めたがいずれも外傷性出血であり,コホート4の8例では,出血は報告されなかった.また,抗Mim8抗体の発現,血栓塞栓性事象は報告されなかった25).現在,小児患者を対象に第3相試験が行われている.
(4)NXT007NXT007は,emicizumabを改良した製剤である.emicizumabは重鎖に対し共通の軽鎖を持っていたが,NXT007は2つの非共通の軽鎖を持つように設計された.組織因子により誘発された場合,in vitroにおいて血友病A血漿中で血液凝固FVIII 100 IU/dLに相当するトロンビン生成活性を示した.また,in vivoにおいて,NXT007による用量依存的な止血活性が示された26).現在,血友病Aを対象に第1/2相臨床試験を実施中である.
2)遺伝子治療血友病の遺伝子治療は,ゲノムDNAにはアプローチせず機能的な凝固因子遺伝子を細胞に発現させる.機能的な凝固因子遺伝子を細胞に発現させるにはベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋が必要になる.ベクターは非ウイルスベクターとウイルスベクターに分けられるが,現在の遺伝子治療はウイルスベクターを用いることが主流であり,ウイルスを形成する遺伝子配列を除去することで自己増殖しないように工夫されている.血友病遺伝子治療には主にアデノ随伴ウイルス(adeno-associatied virus: AAV)をベクターに用い,凝固因子産生部位である肝臓細胞に凝固因子遺伝子を届ける方法が用いられている.中和抗体が存在すると遺伝子治療の効果が認められないため,AAVベクターの全身投与の際AAVに対する中和抗体の存在が問題になる.この中和抗体の保有率は血清型や報告により異なるが,約30~40%と報告されている27).また,AAVベクター投与後は,AAVベクターに対する中和抗体が陽性になるためAAVベクターは通常再投与ができない.現在,中和抗体陽性の患者にも投与し得る方法が検討されている.欧米では血友病A,血友病Bの遺伝子治療薬が承認されているが,2023年11月現在国内で承認されている治療薬はなく,第3相試験が行われている.
(1)血友病B遺伝子治療の最初の成功例は,AAV8を用いて血友病B患者で報告された28).最近の血友病B遺伝子治療臨床試験では,正常型と比較して8倍の活性が得られるFIX Padua変異体が用いられ,低発現でも高い効果が期待できる.欧米で承認されたEtranacogeneの非盲検第3相試験では,6か月以上のFIX治療期間の後,padua FIX変異体を搭載したAAV5ベクター(2×1013 gc/kg)を1回点滴投与した.対象患者はAAV5中和抗体の有無に関係なく,FIX活性2%以下の18歳以上の血友病B男性54名.主要評価項目のABRは,FIX治療期間の4.19から治療後7~18か月間は1.51に減少,FIXによる治療を要した全出血も77%低下し,FIX治療期間と比較し非劣性および優位性が示された.また,FIX活性は治療後6か月で36.2%,18か月後は34.3%であった.投与前のAAV5中和抗体力価が700未満では利点と安全性が観察され,治療関連の重篤な有害事象は発生しなかった29).
(2)血友病A血友病A遺伝子治療には,AAVベクターに搭載出来る遺伝子長が制限されることから,Bドメイン欠損が使用される.AAV5-hFVIII-SQを4×1013 vg/kg,6×1013 vg/kgを投与された患者15名の長期followにおいて,3年後に1%未満であった患者は1名のみで,7名は20%(中央値),出血イベントの年間発生数は0(中央値),FVIII製剤使用回数は年138.5回から0回に減少した30).多施設共同第3相試験では,FVIIIの予防投与をしているAAV抗体陰性の18歳以上の重度血友病A男性134人に,Valoctocogene Roxaparvovecの6×1013 vg/kg単回投与を行った.主要評価項目は,投与104週間の治療を要したABRのベースラインからの変化で,84.5%減少した(P<0.001).また,推定半減期は123週間,FVIII活性は遺伝子導入後5年まで推定され,104週は22%,260週目は合成基質法でFVIII推定平均値と中央値は11.8%,5.7%であった31).
2014年にEHL製剤が発売されて以降この10年間に,non-factor製剤やVWFの相互作用により生じる半減期上限の課題解決をした週1回投与が可能なFVIII製剤も承認された.血友病製剤は今なお発展途上であり,開発中のnon-factor製剤や遺伝子治療など今後も有望な治療薬が登場することが予想される.製剤はそれぞれ性質が異なるため,一つの製剤がすべての患者に最適なわけではない.製剤選択には,患者ごとの生活スタイルや目的,出血症状,関節の状態等を確認し,個別化治療が望まれる.皮下投与が増えている中では,投与の簡便性だけで選択していないか,軽微な出血を繰り返していないか,血友病の知識はきちんと獲得できているかなども確認していく必要がある.新しい作用機序の薬剤は,長期に使用してくることで出現する副作用の発症があるかもしれないため,臨床現場では効果だけでなく副作用にも注意していく必要がある.
本論文発表内容に関連して開示すべき企業等との利益相反なし