日本血栓止血学会誌
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組織因子およびLPS誘発ラットDICモデルに対する all-trans retinoic acid, 活性化ビタミンD3, 低分子ヘパリンの薬効比較検討
市野 典朝倉 英策青島 敬二山崎 雅英菅 幸生奥平 真理子森下 英理子斉藤 正典御舘 靖雄水谷 朋恵加藤 みのり宮本 謙一松田 保
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2000 年 11 巻 1 号 p. 65-73

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抄録
組織因子 (TF) または lipopolysaccharide (LPS) 誘発による Disseminated intravascular coagulation (DIC) モデル (それぞれTF-DIC, LPS-DICと略) に対する all-trans retinoic acid (ATRA), 活性化ビタミンD3 (Vit D3) および低分子ヘパリン (LMWH) の薬効を比較検討した. TF-DICモデルに対し, LMWHは血小板数とフィブリノゲンの減少, D-dimer とTATの上昇を有意に抑制したが, ATRAおよび Vit D3はまったく無効であった. 一方, LPS-DICモデルに対しては, ATRA, Vit D3, LMWHともに有効であり, 腎糸球体血栓も有意に減少したが, 高用量のLMWH投与では死亡・出血が高頻度にみられた.
以上, 動物DICモデルを用いてDIC治療薬の薬効評価を行う際に, 両モデル間で成績が大きく異なる場合がありうることが明らかとなり, 今後の動物DICモデルを用いてのDIC研究を行う上での重要な注意点と思われた.
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