日本血栓止血学会誌
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下肢人工関節置換術後の深部静脈血栓症の発生頻度と危険因子の検討
藤田 悟冨士 武史
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1998 年 9 巻 5 号 p. 367-374

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抄録

本研究の目的は, 下肢人工関節置換術後の深部静脈血栓症 (以下DVT) の発生頻度とその危険因子を知ることである. 対象は平成5年8月から平成9年7月の4年間において大阪府立病院にて施行された人工股関節全置換術127例128肢 (以下THA群) と人工膝関節全置換術110例115肢 (以下TKA群) である. 方法は, 術後2週の時点で手術側下肢の上行性静脈造影を行い, DVTの有無を調査した. またDVTの危険因子として性別, 原疾患, 年齢, 肥満度 (BMI), 手術側 (左右), 術式 (群), 手術時間およびセメント使用の有無の8項目につき検討した. DVTの発生頻度はTHA群21.1% (95%信頼区間: 14.4~29.2%), TKA群47.8% (38.4~57.3%) と高頻度であった. 危険因子の検討では術式, BMIおよび年齢において有意な関連が認められた (術式: p<0.001, BMI: p<0.001, 年齢: p=0.004). またこの3因子を説明変数とする多変量解析の結果, DVT発症確率 (P) は以下の計算式になった.
log(P/1-P)=-5.60+0.98a+0.27b+0.11c
ただし, a: 術式 (THA=0, TKA=1), b: 年齢/10, c: BMI

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