日本輸血細胞治療学会誌
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症例
大量AraC療法後の高度の骨髄抑制時に発症した重症MRSA感染症に対し顆粒球輸血が奏効した急性骨髄性白血病
白鳥 聡一近藤 健若狭 健太郎井端 淳庄野 雄介高畑 むつみ重松 明男東梅 友美加藤 菜穂子太田 秀一加畑 馨武田 紫佐藤 典宏田中 淳司浅香 正博今村 雅寛
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2009 年 55 巻 1 号 p. 37-42

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抄録
症例は27歳男性.急性骨髄性白血病(M2)に対し寛解導入療法にてCRが得られ,地固め療法として大量シタラビン(AraC)療法を施行した後,重症メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症を発症した.抗生剤,顆粒球コロニー刺激因子製剤,静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)を併用するも,肺炎に伴う呼吸不全で人工呼吸管理を要した.その後再発し,化学療法にてCRが得られた後,再度大量AraC療法を施行した.骨髄抑制時に再び重症MRSA感染症を発症したが,アフェレシス法にて同胞から採取した顆粒球の輸注を併用し,白血球の増加前に感染症の改善が得られた.血液疾患に併発した重症細菌感染症に対し抗生剤やIVIGが頻用されているが,骨髄抑制時には好中球等との相互作用による効果が十分に発揮されない可能性がある.本症例での2回目のMRSA感染症時には,抗生剤,IVIGに加えて顆粒球輸血(GTX)を併用した結果,初回と比較して重症化を軽減することができ,その有用性が示唆された.
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© 2009 日本輸血・細胞治療学会
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