危機的出血への対応ガイドライン及び産科的危機出血の対応指針2022では看護師の役割として,出血量の測定・記録や輸血の介助,血液製剤の運搬・確認,輸血部門との連絡などが挙げられている.緊急輸血が多い救急現場では血液型情報や輸血歴の有無・血液伝播性感染症・宗教上の問題などの情報収集,輸血同意書など治療と同時進行で行う必要がある.緊急性が高いほど輸血関連インシデントや有害事象のリスクは高まるが,安全かつ的確に業務を遂行するためにはひとつひとつの行為がなぜ必要なのかを熟知し,そのための手間を惜しまないことが重要である.
近年タスクシフトやタスクシェアにより看護師は多くの役割を求められる.緊迫した状況で多くの役割を短時間かつ的確に行うためには日頃の準備が必要であり,マニュアル作成や多職種とシミュレーションを行うことが望ましい.実際の現場では看護師の中にもコマンダーを置き看護師の役割遂行や多職種との連携を担うことが理想である.
本稿では緊急輸血・大量輸血時における看護のポイントや看護師のチーム医療における役割について述べる.
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