日本輸血細胞治療学会誌
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最新号
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原著
  • 蓮沼 秀和, 石田 智子, 町田 保, 岩下 洋一, 清水 直美
    2021 年 67 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2021/03/17
    ジャーナル フリー

    背景:IgGの検出感度が高い間接抗グロブリン試験で陽性となった不規則抗体は臨床的意義が高いものとされている.しかしながらIgGには4つのサブクラスがあり,注意すべきはIgG1とIgG3である. 今回我々は不規則抗体ごとのIgGサブクラスについて解析を行い,その意義について検討を行ったので報告する.

    方法:当院で検出された抗D,抗E,抗c,抗e,抗Fyb,抗Dia,抗Jka,抗Jkb,抗S,温式自己抗体の計185例について,IgGサブクラスの測定を行い,抗体の特性について解析した.次いで検出されたIgGサブクラス別に単球貪食試験を実施し,その臨床的意義について検討を行った.

    結果:多くの抗体でIgG1単独,IgG3単独,IgG1+IgG3複合型が検出された.抗Eについては単一の抗体として検出されたものはIgG1単独が多く,複数抗体と共に検出されたものはIgG1+IgG3複合型を多く認めた.単球貪食試験ではIgG3の抗体結合量と貪食率に高い相関を認めた.

    結論:不規則抗体のIgGサブクラスを解析した結果,IgG3単独型,IgG1+IgG3複合型の臨床的意義が高く,複数抗体として検出された抗Eについてはより注意が必要であることが示唆された.

  • 菅河 真紀子, 佐川 公矯, 大山 功倫, 平安山 知子, 長井 一浩, 中島 一格, 河原 和夫
    2021 年 67 巻 1 号 p. 9-20
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2021/03/17
    ジャーナル フリー

    近年, 世界においてグロブリン製剤の不足が深刻化している. 我が国においても使用量は2010年からの10年間で約1.5倍に増加しており, 特に2019年は需要予測を大幅に上回り, 緊急輸入を余儀なくされた.

    2019年の使用量急増の直前に加えられた2つの要因「CIDP進行抑制への適応認可」と「濃厚製剤の上市」について分析したところ, CIDPに対するグロブリン製剤の使用量は継続的に増加傾向にはあったものの認可の前後で有意な増加は認められなかった. しかし, 濃厚製剤10%ヴェノグロブリンの上市によって, 治療時間が短縮され, 入院から外来, 在宅へと治療形態が変化しており, 特に継続的投与を必要とする低及び無ガンマグロブリン血症において使用量が急増していたことが確認された. 入院によって妨げられていた隠れた治療ニーズが外来治療が可能になることによって掘り起こされたものと考えられる. 今後, 企業による治療時間の短縮化が進むと継続的投与を必要とする疾患において更なるニーズが創生されるものと考えられる.

    白熱した国際的血液事業ビジネスが繰り広げられる中, グロブリン製剤適正使用の推進と適応症の認可をどこまで広げ, 需要量をどのように調節するのかについての慎重な論議が必要である.

  • 岸本 信一, 小林 悠, 坂田 秀勝, 松林 圭二, 佐藤 進一郎, 生田 克哉, 紀野 修一
    2021 年 67 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2021/03/17
    ジャーナル フリー

    伝染性紅斑の原因ウイルスであるヒトパルボウイルスB19(B19)の輸血用血液製剤や血漿分画製剤原料への混入リスクを減らすため,2008年に血液センターでは化学発光酵素免疫測定法によるB19抗原検査(CLEIA-B19;従来法)を導入した.その後,感染症検査システムの更新に伴い2019年4月から化学発光免疫測定法による新B19抗原検査(CLIA-B19)に変更したため各遺伝子型の検出感度を評価した.Real-time PCRによりB19 DNAを定量した遺伝子型1,2,3型のB19パネルをCLIA-B19で測定した.またCLIA-B19で検出したB19 DNA陽性検体を系統学的に解析した.CLIA-B19はすべてのB19遺伝子型を検出でき,平均検出感度は約6.4log IU/mlと算出され従来法とほぼ同等であった.2019年度の北海道献血者検体252,956本中CLIA-B19により237本(0.09%)が陽性となり,このうち26本(0.01%)がB19 DNA陽性で,解析できた25本はすべて1型であった.CLIA-B19は,献血血液におけるB19抗原スクリーニングに有用と考えられた.

症例報告
  • 中嶋 太郎, 植木 俊充, 住 昌彦, 廣島 由紀, 中田 昭平, 徳竹 孝好, 白鳥 文夫, 小林 光
    2021 年 67 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2021/03/17
    ジャーナル フリー

    53歳,男性.免疫抑制療法を施行中の重症再生不良性貧血に対して輸血療法の指針に基づき出血予防のため血小板輸血を行ったところ,輸血開始47分後に腹痛と嘔気を訴え,下痢,嘔吐を認め,続いて悪寒・戦慄が出現し38℃の発熱を認めた.腸管感染症を疑い,腹部単純CTを施行したところ腸管浮腫を認めたため腸管感染症と診断し,輸血を継続し,2時間50分後終了した.血液培養,エンドトキシン検査用検体を採血し輸血開始3時間50分後に抗生剤投与が行われた.エンドトキシンが188,900pg/mlと著明高値で,血液培養からCitrobacterkoseriC.koseri)が検出されたため,輸血バッグの残余検体の培養も行ったところ,同様にC.koseriが検出され,後日遺伝子学的解析で同一菌株と判明した.入院後に敗血症性ショックに至り,第4病日には無尿,低酸素血症に至ったため,ICUにて人工呼吸管理,持続的濾過透析,エンドトキシン吸着療法が併用され,徐々に病態は改善した.輸血由来細菌感染症では,発症早期の非典型的症状が診断を困難にさせうるため,特に免疫抑制患者においてはより注意を払うべきと考えられた.

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活動報告
論文記事
  • 藤原 慎一郎, 池田 和彦, 紀野 修一, 田中 朝志, 長谷川 雄一, 藤野 惠三, 牧野 茂義, 松本 真弓, 横濱 章彦, 竹下 明裕 ...
    2021 年 67 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2021/03/17
    ジャーナル フリー

    日本骨髄バンクではほとんどの骨髄ドナーから自己血を貯血している.2010年から2015年の間に日本骨髄バンクを通じて骨髄採取を受けた5,772人のドナーを後方視的に評価した.自己血はドナーの96.8%で採血され,廃棄率は0.6%であった.同種血は使用されなかった.自己血輸血(平均596ml)により,骨髄採取(平均891ml)後の平均ヘモグロビン(Hb)値は12.1g/dlであった.2群間の背景の調整に傾向スコアマッチングを用いた.骨髄採取量100~400mlのドナーにおいて,自己血輸血の有無の影響を比較した.2群間で骨髄採取後のHb値や合併症に差を認めなかった.骨髄採取量が400mlを超えたドナーにおいて,自己血輸血量の少ないドナー(出血量300~400ml)と自己血輸血量の多いドナー(出血量0~100ml)を比較した.2群間のHb値の差はわずかであり,骨髄採取後の合併症に差を認めなかった.Hb値の変化や骨髄採取後の合併症の点から骨髄ドナーへの自己血輸血は過剰に行われていると考えられる.

温故知新
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