日本輸血細胞治療学会誌
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Picture in Transfusion Medicine & Cell Therapy
総説
  • 槍澤 大樹, 菅野 仁
    2022 年 68 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2022/02/25
    公開日: 2022/03/14
    ジャーナル フリー

    赤血球内に存在するヘモグロビンは, 肺胞で酸素を結合して組織に運搬する. ヘモグロビンの異常により酸素運搬能が低下すると, 組織は低酸素状態となり労作時呼吸困難や全身倦怠感などの症状が出現する. ヘモグロビン異常症はサラセミアと異常ヘモグロビン症に大別され, サラセミアはグロビン遺伝子の異常によりα-およびβ-ヘモグロビン鎖の量的アンバランスが生じた結果発症し, 鉄欠乏性貧血などとの鑑別にはMentzer indexが有用である. 不安定ヘモグロビン症はグロビン鎖のアミノ酸配列が変化してヘモグロビン鎖が不安定になり発症し, メトヘモグロビン血症はHbの還元に関与する酵素の異常により発症する. また, パルスオキシメーターによる経皮的動脈血酸素飽和度測定における異常低値を示す場合, 空腹時血糖が異常高値であるにもかかわらずHbA1cが低値を示す場合, メトヘモグロビンが高値を呈する場合などはヘモグロビン異常症を疑う必要がある. 重症型のヘモグロビン異常症では定期的な輸血が必須であるが, 輸血による鉄過剰が問題となる. βサラセミアや鎌状赤血球症では, 近年様々な治療薬が開発されてきており, 更なる臨床応用が期待される.

症例報告
  • 常深 あきさ, 二木 由里, 前田 かおり, 五十嵐 朋子, 星野 真理, 伊藤 聡彦, 渡邊 正純, 清水 勝
    2022 年 68 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 2022/02/25
    公開日: 2022/03/14
    ジャーナル フリー

    急性疼痛性輸血反応 (acute pain transfusion reaction; APTR) は, 輸血開始後30分以内に躯幹や四肢近位部に疼痛を認め, 中止後30分以内に消退し, 呼吸困難, 血圧上昇, 悪寒, 頭痛, 潮紅などを伴う稀な副反応であるが, 穿刺局所の疼痛や発赤の記載はない. 我々は, 激痛と発赤が穿刺部位に限局し, 軽度の血圧上昇以外の症状を認めない症例を経験した.

    症例は, 68歳男性で, 輸血歴はない. 2017年1月急性解離性弓部大動脈瘤でステンドグラフト術を受けた. 7月再度ステントグラフト術と両腋窩動脈間バイパス術を受け, 術中回収式自己血は副反応なく輸血し得た. 翌日, 同型適合貯留前白血球除去赤血球液 (prestorage leukoreduced RBCs; PLR-RBCs) の輸血開始直後より穿刺部位の激痛と発赤を認め, 中断10分後に症状は消退した. 別腕で同製剤を再輸血したが, 同様な症状と一過性の軽度血圧上昇を認め, 中断した. 溶血所見は認められなかった. その後, 他の2バッグのPLR-RBCs輸血は副反応なく行いえた. 翌々日, 同型適合PLR-RBCsの輸血開始後に同様な症状と一過性の軽度血圧上昇を認め, 中断5分後には症状は消退した.

    この急性輸血副反応は, 激痛と発赤が穿刺部位局所に限られ, 一過性の軽度血圧上昇以外の症状を認めないことから, APTRとは異なる急性局所疼痛性輸血反応 (acute localized pain transfusion reaction; ALPTR) と称するのが妥当ではないかと考えられる.

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