日本輸血細胞治療学会誌
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総説
  • 豊嶋 崇徳
    2020 年 66 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2020/03/13
    ジャーナル フリー

    造血幹細胞移植はその黎明期から造血幹細胞源の拡大,非血縁ドナーバンクの設立,強度減弱移植前処置法の開発によってその多様化が進んできた.またGVHD予防法や感染対策などの支持療法の進歩により,成績も向上してきた.同時に移植以外の治療法の進歩によって,移植適応も刻々と変化している.またこの間には社会情勢も変化し,先進国では少子高齢化が進行し,その影響でドナー不足が問題となってきた.そのため,ドナー不足を解消するHLA半合致移植の実施が急増している.このように,化学療法,分子標的療法,造血幹細胞移植がそれぞれ進歩し,集学的治療として血液がん治療の向上が期待される.

原著
  • 田中 朝志, 飛田 規, 紀野 修一, 立花 直樹, 横濱 章彦, 浦崎 芳正, 河野 武弘, 藤井 輝久, 長井 一浩, 浅井 隆善
    2020 年 66 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2020/03/13
    ジャーナル フリー

    輸血機能評価認定(I&A)は旧制度では普及が進まなかった.そこで,新制度開始後約3年間の取り組みを検証し,日本での意義を検討した.対象は2016年1月~2019年3月に認定された新規49,更新51施設とし,地域毎の分布や指摘項目の内容を分析した.

    認定施設の地域別では東北・東海支部で多かった.新規認定施設での視察時の平均指摘項目数は,認定必須項目で2.6,重要項目で5.3であった.認定項目で最も指摘の多かったのは血液製剤の保管管理に関する項目で,次いで,血液型の二重確認,自己血採血時の副作用対応であった.一方,重要項目では副作用の管理・対策に関する項目が上位を占めた.また,自己評価と視察員の評価が分かれた項目は平均6.0項目あり,第三者評価の重要性も示唆された.

    今回の検討でI&Aは輸血医療の重要事項を中心に安全性を向上させると考えられた.今後はこの有用性について輸血医療関係者との情報共有を進めると共にI&Aの視察員や認定施設関係者から輸血に携わる医療従事者に広く情報を発信し,さらに輸血の安全文化を推進できるようなI&Aプログラムを構築していきたい.

  • 清武 貴子, 吉國 謙一郎, 原 純, 大木 浩
    2020 年 66 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2020/03/13
    ジャーナル フリー

    はじめに 鹿児島県立大島病院はドクターヘリを保有する救命救急センター(以下,救命センター)を併設している.日本赤十字社鹿児島県赤十字血液センター(以下,鹿児島日赤)と委託契約していた民間の血液製剤備蓄所が2018年3月末に血液製剤取扱い業務から撤退した.以後,当院では血液製剤の院内在庫を置き輸血医療に対応している.危機的出血を伴い鹿児島日赤から血液搬送が間に合わない際に,院内血輸血を実施している.対象と方法 救命センター開設後の2014年から2018年までの期間に実施した18症例の後方視的カルテ調査を行い院内血に至る要因を検討した.結果 院内血輸血実施理由の51%が,血小板減少症や血小板製剤が届かない等の血小板に関係する問題であった.院内血輸血の結果,血小板数及びフィブリノゲン濃度が有意に上昇した.考察 奄美大島地区緊急時供血者制度連絡協議会が作成した登録者名簿に記載されている島民の協力の下,院内血が実施される.安全面や供血者への負担も考慮が必要である.結語 院内血輸血によりフィブリノゲン濃度が止血可能域まで上昇した.クリオプレシピテートやフィブリノゲン濃縮製剤の有用性が待望される.

  • 岩朝 静子, 佐藤 順一, 山崎 健二, 野島 正寛
    2020 年 66 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2020/03/13
    ジャーナル フリー

    目的:手術に際して,貯血式自己血輸血は医学的に有用であるが,中等度以上の大動脈弁狭窄症では禁忌である.同種血供給源である献血人口の減少傾向から,同種血の使用削減に向けた努力が必要であり,大動脈弁狭窄症に対する希釈式自己血輸血の医学的効果について検討する.

    方法:2016年4月から2019年2月までに重度大動脈弁狭窄症に対して待機的大動脈弁置換術を行った42例(希釈式自己血輸血を開始した2018年2月以降;A群18例,それ以前の症例;C群24例)を,2群間で後ろ向きに比較検討した.

    結果:A群における平均自己血採取量は827.8±256.2mlであった.術後出血量(p<0.05)・同種血使用量(p<0.05)は,A群が有意に少なく,同種血回避率はA群50%,C群9.1%であった.

    考察:大動脈弁狭窄症に対する希釈式自己血輸血は,同種血使用量の削減に有用であった.また,術直前の貧血暴露による,血行動態の急激な変化が懸念されたが,有害事象は認めなかった.

    結論:大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術の希釈式自己血輸血は,ある一定の条件下では安全に実施しうる可能性が示唆された.

短報
  • 杉山 寛貴, 池本 純子, 吉原 哲, 山本 菜生, 大野 万佑子, 原田 由紀, 大塚 真哉, 小野本 仁美, 村田 理恵, 前田 和宏, ...
    2020 年 66 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2020/03/13
    ジャーナル フリー

    テムセルHS注(以下,テムセル)は,健康成人骨髄液から得られたヒト間葉系幹細胞を拡大培養し製造された再生医療等製品であり,造血幹細胞移植後の治療抵抗性急性移植片対宿主病を適応として2016年に臨床導入された.当院におけるテムセル解凍,調製後の生細胞率につき,35症例に投与された計564バッグを対象に後方視的解析を行った.初期の1ロット(2バッグ)において生細胞率が63%,68%と著しく低値であり,解凍時の手順の変更を行った.これを除くと生細胞率は平均値95%±1.7%であり,全バッグにおいて当初投与基準として示されていた70%を超えていた.また,保管や細胞プロセシング(解凍・調製)の過程において生じうる同一ロット内のバッグ間における生細胞率の格差は最大で11%にとどまっていた.生細胞率の測定は,細胞治療製剤の品質評価・品質保証の一助となると同時に,輸血部門における細胞の解凍,調製手順の妥当性を検証するために有用であると考えられる.

症例報告
  • 櫻澤 貴代, 高橋 秀一郎, 渡邊 千秋, 伊藤 誠, 魚住 諒, 増田 裕弥, 早坂 光司, 西田 睦, 杉田 純一, 豊嶋 崇徳
    2020 年 66 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2020/03/13
    ジャーナル フリー

    cisA2B3型はオモテ検査での抗A,抗Bの反応が弱く,血漿中に抗Bが認められる反応態度であるが1),新生児におけるcisA2B3型の反応態度に関する報告は少ない.今回,cisA2B3型が疑われる新生児の血液型反応態度と成長に伴う血液型抗原量の変化について検討した.

    症例は日齢0日の新生児.ABO血液型検査はカラム凝集法にてオモテ検査のみ施行し,抗A:2+,抗B:0となった.母親が血清学的検査でcisA2B3型と疑われていたことから,児の血液型精査,母児のABO遺伝子タイピング,血液型抗原量を測定した.児の赤血球の抗B吸着解離試験よりB抗原が検出され,ABO遺伝子タイピングでは母児共にcisAB01/O01と判定された.血液型抗原量は母親と比較して児のA,B抗原量は低く,特にB抗原量が著しく低かった.1歳11カ月時に再検査したところ,児のB抗原量は出生時よりも増加し,血漿中から抗Bが検出された.

    新生児のcisAB型では通常の血液型検査では検出できないB抗原量であるため,血液型判定に際しcisAB型を疑う場合はABO遺伝子タイピングや血液型抗原量の測定が有用であることが示唆された.

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