日本輸血細胞治療学会誌
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貯血式自己血採血時の副作用について―全国大学病院輸血部会議副作用ワーキング調査から―
面川 進藤井 康彦高松 純樹
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2009 年 55 巻 1 号 p. 58-62

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抄録
採血時の副作用として,血管迷走神経反応(VVR)などが問題とされる.献血時の発生頻度などの報告はあるが,自己血採血時の副作用の報告や多施設の集計データは少ない.全国の国公私立大学病院79施設を対象にアンケートにより,自己血採血担当者の職種,採血時VVR対応マニュアルの有無,輸血部での自己血採血記録の管理,採血時副作用の種類,VVRの程度と件数,VVR発症年齢などを調査した.自己血採血担当者は輸血部医師22施設,診療科医師27施設,輸血部+診療科医師13施設と多くは医師が担当しているが,輸血部看護師のみの担当も10施設であった.採血時VVR対応マニュアルは20%の施設では無く,自己血採血記録も13%の施設では輸血部で管理されておらず,診療科任せの状況であった.VVRは209例発症し,I度が196例,II度が13例でIII度はなかった.発症年齢は60歳代が46例と最も多かったが,採血患者数及び採血件数当りのVVR発症率は10歳代で最も高く,それぞれ4.0%及び1.7%で,次いで20歳代や30歳代で発症率が高かった.国公私立大学病院で輸血部はあるが,採血担当者が診療科医師などのことも多く,マニュアルの整備,採血記録の保管などに関しても必ずしも貯血式自己血採血の中央化がなされていなかった.自己血採血時のVVRなどの副作用に対応するためには,より輸血部が主体となって採血,患者管理に努めて行かなければならないと考えられた.
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© 2009 日本輸血・細胞治療学会
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