日本輸血細胞治療学会誌
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2007年度輸血関連総括アンケート調査報告輸血管理体制と血液の適正使用に関する調査
牧野 茂義田中 朝志高橋 孝喜佐川 公矯
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2009 年 55 巻 6 号 p. 717-722

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抄録
輸血管理体制や輸血療法委員会の活動状況に関する現状を把握すべく,2004年度調査から4年連続で輸血医療の総括的アンケート調査を実施した.輸血検査·輸血用血液の一元管理は748施設(88.7%)でなされていた.輸血管理料取得の条件でもあることから,アルブミンの使用状況を輸血部門が把握している施設は621施設(75.0%)と増えてきている.輸血療法委員会は799施設(95.2%)に設置され,専任もしくは兼任の輸血責任医師の任命,輸血検査業務に責任を持つ臨床検査技師(輸血責任臨床検査技師)の配置の条件を充たす医療機関も徐々に増加し,輸血検査の24時間体制は300床以上の病床を持つ大規模病院では90.9%と整ってきているが,300床未満の中小規模病院では44.4%とまだ半数に達していなかった.輸血実施システムにおけるコンピュータの利用に関しても,年々増加傾向にはあるが未だ十分とは言えず,特に中小規模病院において55.5%にとどまっていた.輸血管理料は全体の1/3以上の医療機関(輸血管理料I: 133施設,II: 188施設)が既に取得していた.また,輸血責任医師の任命状況で病床あたりの血液使用量と廃棄率を比較したところ,専任,兼任の輸血責任医師のいる施設では,病床あたりの血液使用量は多く廃棄率は低い傾向が見られ,それは大規模病院で顕著であった.さらに大規模病院においては輸血責任医師が兼任のときは輸血責任臨床検査技師が専任の施設の方が血液廃棄率は低い傾向が見られた.
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© 2009 日本輸血・細胞治療学会
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