日本輸血細胞治療学会誌
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症例
血小板製剤輸血後に不規則抗体が検出された2症例
吉居 真由山口 恭子池松 陽子江頭 貞臣豊嶋 崇徳赤司 浩一
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2011 年 57 巻 6 号 p. 465-469

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抄録

血小板製剤輸血後に不規則抗体が陽転した2症例を経験したので報告する.
2症例とも輸血前検査では不規則抗体スクリーニングは陰性であったが,血小板製剤輸血後の検査で不規則抗体が陽性となった.症例1では抗Jkb,症例2では抗Eが同定された.輸血した血小板製剤のドナーは,それぞれJk(b+),E(+)であったことから,輸血した血小板製剤中に含まれる微量な赤血球により抗体が産生されたか,あるいは二次免疫応答が生じて再活性化されたことが考えられる.
通常,不規則抗体陽性患者への血小板製剤輸血については適合血の選択を行っていないが,今回のように抗体を産生,再活性化する場合があるため,今後十分な注意が必要である.
また,特にKidd式のように抗体価が低下しやすい抗体は,輸血前検査で不規則抗体が見逃されることがあり,輸血前検査で検出感度以下になった場合や,転院した場合であっても適合血が選択できるように,情報が共有化されることが望まれる.

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© 2011 日本輸血・細胞治療学会
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