2014 年 60 巻 1 号 p. 46-58
背景と目的:非感染性非溶血性輸血副作用は輸血副作用の中で最も多い.いくつかの検査が樹立され副作用の診断や発症機序の理解に役立っている.本報は,現在利用可能な検査法を日本での状況と対比させながらまとめるものである.材料と方法:主にキーワード入力によりMedlineデータベースから100以上の論文を特定し,調査した.結果:血漿タンパク,血漿タンパク抗体,白血球抗体,血小板抗体,血清N-terminal-pro-brain natriuretic peptide,遺伝子マイクロキメリズムの定量,同定のための検査など多数の検査が行われている.好塩基球活性化試験や好中球活性化試験などのクロスマッチテストも副作用と輸血の因果関係の特定に利用することが可能である.結論:一部の新規検査法は完全にはバリデートされていないが,多くの検査法は臨床診断の助けとなり,副作用と輸血の因果関係の特定や場合によっては副作用発生機序の理解のためにも有用である.