日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
Print ISSN : 1881-3011
ISSN-L : 1881-3011
原著
同種骨髄移植後に非血縁者ドナー由来と考えられるHLA抗体が産生された症例
山本 茉美山岡 学井上 まどか寺嶋 由香利阿部 操大西 修司石井 一慶野村 昌作
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 60 巻 3 号 p. 471-476

詳細
抄録

移植においてHLA抗体は,移植片の液性拒絶の原因や,濃厚血小板(Platelet Concentrate:PC)の輸血効果に関与する重要な因子のひとつである.今回われわれは,骨髄バンクドナー(非血縁者)がHLA抗体を保有し,移植後ドナー由来と思われるHLA抗体を産生した症例を経験した.症例は,20歳代男性で2009年2月フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)と診断され,初回寛解導入法にて寛解が得られた.2009年7月HLA抗体を保有するドナーからの骨髄移植が実施された.移植2カ月後頃からドナーとほぼ一致するHLA-AおよびB抗原に対する特異性を示すHLA抗体が検出された.骨髄移植後の輸血はPCが中心となることから,定期的なHLA抗体検査によるフォローアップが重要であり,HLA抗体が検出された場合,HLA抗体に反応しないHLA適合PC(PC-HLA)を選択する必要性も示唆された.

著者関連情報
© 2014 日本輸血・細胞治療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top