2018 年 64 巻 1 号 p. 28-34
抗Jka,抗Jkbは遅発性溶血性副作用の原因となるが,クロスマッチでは検出困難である場合が多く問題となっている.最近,JK*A遺伝子(またはJK*01)の一塩基置換c.130G>A(アリル名JK*01W.01)に伴うアミノ酸置換(p.Glu44Lys)によるJkaおよびJk3抗原の減少が報告された.本研究では日本人献血者におけるJK遺伝子c.130Aの頻度,さらにJkaとJk3抗原の発現への影響を検討した.日本人献血者2,017名でのJK遺伝子c.130Aの頻度は38.5%であったが,JK*01W.01がJK*Aの82.6%を占めていた.これに対し,JK*Bのc.130Aはわずか0.1%であった.JK*01W.01の赤血球ではJkaおよびJk3抗原の発現減少がみられた.日本人のJk(a+b+)の頻度は約50%であり,そのうち約80%はJka抗原の発現が低下していることになる.患者が保有する抗Jkaが微弱な場合,クロスマッチで適合となる恐れがあるため,十分な抗体価の抗Jka血清でJka抗原陰性を確認するなどの対策が必要である.