日本輸血細胞治療学会誌
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Print ISSN : 1881-3011
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原著
日本人献血者におけるJK*Aのc.130G>A変異頻度およびJka抗原量の解析
常山 初江長部 隆広大河内 直子永沼 真一小野寺 孝行伊佐 和美東 史啓大村 和代津野 寛和中島 一格小笠原 健一内川 誠
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2018 年 64 巻 1 号 p. 28-34

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抄録

抗Jka,抗Jkbは遅発性溶血性副作用の原因となるが,クロスマッチでは検出困難である場合が多く問題となっている.最近,JK*A遺伝子(またはJK*01)の一塩基置換c.130G>A(アリル名JK*01W.01)に伴うアミノ酸置換(p.Glu44Lys)によるJkaおよびJk3抗原の減少が報告された.本研究では日本人献血者におけるJK遺伝子c.130Aの頻度,さらにJkaとJk3抗原の発現への影響を検討した.日本人献血者2,017名でのJK遺伝子c.130Aの頻度は38.5%であったが,JK*01W.01JK*Aの82.6%を占めていた.これに対し,JK*Bのc.130Aはわずか0.1%であった.JK*01W.01の赤血球ではJkaおよびJk3抗原の発現減少がみられた.日本人のJk(a+b+)の頻度は約50%であり,そのうち約80%はJka抗原の発現が低下していることになる.患者が保有する抗Jkaが微弱な場合,クロスマッチで適合となる恐れがあるため,十分な抗体価の抗Jka血清でJka抗原陰性を確認するなどの対策が必要である.

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© 2018 日本輸血・細胞治療学会
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