日本輸血細胞治療学会誌
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症例報告
血液型検査で偶発的に拒絶が判明も,同種移植後寛解維持している急性骨髄性白血病
大中 貴史岩井 文絵松原(中本) 理絵小倉(加藤) 愛子米澤 昭仁
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2019 年 65 巻 4 号 p. 751-753

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抄録

66歳,男性.200X年9月真性多血症(PV)と診断.定期的に瀉血を施行も,200X+3年11月に正常核型の急性骨髄性白血病へ移行.完全寛解で200X+4年2月にHLA完全一致同胞から骨髄非破壊的移植を施行.ABO式血液型はmajor-minor mismatchであった.day20に生着し,急性GVHDは最高grade 2であったが全身治療を要さず,慢性GVHDもlimited stageであった.ABO血液型はday577にドナー血液型への移行を確認.免疫抑制療法はday628に中止した.day687に完全ドナーキメラを確認し,以後は血液検査のみで経過観察していた.偶然行ったday1,697の血液型検査で混合血液型が判明.同日骨髄穿刺を施行し,腫瘍再発は認められなかったがレシピエント79.6%,ドナー19.6%の混合キメラであった.day1,931にはレシピエント92.8%,ドナー6.8%とほぼ拒絶状態となったが,現在に至るまで再発を認めず,かつJAK2遺伝子変異陰性で経過している.移植後長期寛解症例において,再発なき拒絶は発見が難しいものの,血液型の検索を含めた経過観察が必要と考えられた.

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© 2019 日本輸血・細胞治療学会
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