日本輸血細胞治療学会誌
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非血縁ドナーからの骨髄採取における自己血輸血の臨床的意義
藤原 慎一郎池田 和彦紀野 修一田中 朝志長谷川 雄一藤野 惠三牧野 茂義松本 真弓横濱 章彦竹下 明裕室井 一男
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2021 年 67 巻 1 号 p. 58-64

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抄録

日本骨髄バンクではほとんどの骨髄ドナーから自己血を貯血している.2010年から2015年の間に日本骨髄バンクを通じて骨髄採取を受けた5,772人のドナーを後方視的に評価した.自己血はドナーの96.8%で採血され,廃棄率は0.6%であった.同種血は使用されなかった.自己血輸血(平均596ml)により,骨髄採取(平均891ml)後の平均ヘモグロビン(Hb)値は12.1g/dlであった.2群間の背景の調整に傾向スコアマッチングを用いた.骨髄採取量100~400mlのドナーにおいて,自己血輸血の有無の影響を比較した.2群間で骨髄採取後のHb値や合併症に差を認めなかった.骨髄採取量が400mlを超えたドナーにおいて,自己血輸血量の少ないドナー(出血量300~400ml)と自己血輸血量の多いドナー(出血量0~100ml)を比較した.2群間のHb値の差はわずかであり,骨髄採取後の合併症に差を認めなかった.Hb値の変化や骨髄採取後の合併症の点から骨髄ドナーへの自己血輸血は過剰に行われていると考えられる.

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© 2021 日本輸血・細胞治療学会
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