日本輸血細胞治療学会誌
Online ISSN : 1883-0625
Print ISSN : 1881-3011
ISSN-L : 1881-3011
症例報告
成分献血における遷延性血管迷走神経反応の脈動解析
山本 哲生田 克哉算用子 裕美前田 絵美小場 聡美後藤 由紀菊池 博也塚田 克史
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 67 巻 3 号 p. 449-454

詳細
抄録

血小板成分献血で発生した遷延性の血管迷走神経反応(以下VVR)を対象として,脈動数の連続モニタリング記録から発症および回復過程を解析した.隣接する脈動の差(ΔNNI)と脈動数のVVR前後の経時的変化の観察から,発症前にΔNNIの規則的変動(0ms,8~10ms,15~19ms)が認められた.VVRの発症直前に脈動数の急激な減少を認め,ΔNNIの規則性が消失し,pNN50の増加と時期を同じくしてVVRの発症が認識されていた.発症後の回復初期にはΔNNIが0msとなる脈動の頻度が有意に増加していた(p<0.01).その後規則的変動は回復したが,発症前にヒストグラムで観察されたΔNNIの2つのピークはいずれも波長差を拡大し,脈動数は低値を示すとともに臨床症状の回復を認めなかった.治療室への移動に際してpNN50の再増加とともに,脈動数の低下および臨床症状の悪化が認められ,回復過程における迷走神経活動の活性化が,回復遅延につながると推定された.

著者関連情報
© 2021 日本輸血・細胞治療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top