日本輸血細胞治療学会誌
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総説
再生医療等安全性確保法の下で運営される特定細胞加工物製造施設の施設要件について
川真田 伸
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2021 年 67 巻 6 号 p. 567-572

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抄録

現在,再生医療等の安全性の確保等に関する法律(安全確保法)の下,治療の再生医療等提供計画が4,319件登録されており,細胞加工施設は3,048件が届け出られている.殆どがクリニック併設の簡便な小規模細胞加工施設で特定細胞加工物の加工を行っているとみられ,特定細胞加工物の有効性,安全性の確保に一層の確実性が必要となっている.特定細胞加工物の製造においては,構造設備の要件を満たすことが重要なファーストステップであり,運用例の蓄積とともに理解が進んでいる.一方,品質の管理体制は実質的に実施機関の努力義務となっており,有効性と安全性の担保のボトルネックになっている.全ての医療機関にGCTP並みの運用を求めることはできないが,次の4点を検討することで,さらなる有効運用に期待できる.1.生体組織の採取,加工,患者への投与の過程でのリスク定量化と低減策の策定,2.QMS文書の構築と運用の検証,3.(病院のCPCの場合)診療実施者とCPCの施設責任者そして病院長の間責任の区分の明確化,そして,4.新たに有効な治療が開発された場合の,再生医療等製品としての薬事開発への導出の検討,である.

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© 2021 日本輸血・細胞治療学会
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