2025 年 71 巻 5 号 p. 705-707
2023年3月から赤血球液の有効期間が採血後21日から28日へ延長された.本検討は有効期間の延長が当院の輸血医療にどのような影響を与えているか解析することを目的とした.有効期間延長に伴い廃棄率は0.39%から0.16%へ減少した.その原因として,有効期間延長前には廃棄原因の80%を占めていた有効期限切れによる廃棄が,有効期間延長に伴い認められなくなったことに起因すると考えられた.なお,本検討期間において,当院への赤血球液納品時における残り有効期間の中央値は,延長前は全血液型で12日(0~19日)であったのに対し,延長後は17日(0~17日)と5日長くなっていた.
一方,有害事象の発生率については,有効期間延長の前後で0.49%から0.73%へとわずかに増加を認めたが,採血後の経過日数によって発生率が上昇する傾向や有効期間延長に起因して生じたと考えられる副反応は認めなかった.
以上より,赤血球液の有効期間延長は血液製剤の廃棄率減少につながること,すなわち血液製剤の有効利用に貢献していると考えられた.