2014 年 27 巻 1 号 p. 21-26
熱拡散率の測定法としてよく知られたレーザフラッシュ法の加熱源であるパルスレーザの代わりに、入手が容易な半導体レーザを用いる事を検討する。但しこの場合試料への入力波形は矩形周期波形となり、過渡応答波形の解析解は容易に求められない。しかし細野により開発された高速ラプラス逆変換(FILT)を使えば容易に応答波形の数値解を得る事が出来る事を示す。さらにこの数値解を使えば、入力熱流束の大きさを既知として、試料の熱拡散率だけでなく熱伝導率、すなわち試料の熱物性値を同定することが出来る。FILTの使用例が少ないがその有効性を考慮し、プログラミング言語にC++を用いれば汎用プログラムが書け、使い易くなる事を指摘した。また熱物性同定法の確認として単層の場合、2層の場合についてシミュレーションを行った。