本論文は, 低温潜熱蓄熱材としてのペンタデカン (C15H32, 凝固点Tfp=283.1K) を微細化し, 水中に分散させた混合物を対象としたもので, その潜熱輸送システム構築において重要となる密度, 比熱および熱伝導率の測定結果について報告するものである. 微細な固-液潜熱蓄熱物質 (ペンタデカン) と微細潜熱物質被覆材料 (メラミン樹脂) の組成割合は, 平均粒子径, 質量割合および密度の測定結果より算定した. 潜熱蓄熱材輸送システム構築において重要となる微細潜熱物質混合水の密度および比熱は, 算定された潜熱物質, 被覆材料と水の組成割合を用いた加成性法則を適用することが可能であることを明らかにした. さらに熱伝導率は, Euckenの3相分散モデルを仮定することにより予測可能であることが判明した.