2015 年 46 巻 3 号 p. 49-52
左前肢跛行が7ヶ月間続いた10歳齢、雌のベアデッドコリーを二頭筋腱滑膜炎と診断した。診断後も内科治療を続けたが、X線検査における結節間溝領域の石灰化ならびに跛行が悪化したため、診断の8ヶ月後に二頭筋腱切断術を実施した。関節切開後に二頭筋腱を付着部位で切断し、腱断端を関節包から引き抜いて切断、短縮してから上腕横靭帯下に縫合固定した。術後は投薬なしでも跛行が認められなくなり、20ヶ月間経過した現在も跛行の再発はみられていない。関節切開による二頭筋腱切断術は、内科療法に反応しない二頭筋腱滑膜炎の犬における有用な治療になると思われる。