外科切除によって病理組織学的に犬消化管間質腫瘍(GIST)であると診断された11症例の臨床的特徴とc-kit遺伝子の変異について調査した。腫瘍発生部位は、盲腸7例(63.6%)、小腸2例(18%)、十二指腸、結腸各1例(9%)であり、その増殖様式は、管外型7例(63.6%)、壁内型1 (9%)、管内型2例(18%)、不明1例(9%)であった。6症例(54.5%)においてc-kit遺伝子のエクソン11に変異が見つかったが、エクソン8、9および13では見つからなかった。c-kit遺伝子変異は全症例の54.5%で認められ、最も多く見られた盲腸・管外型病変を呈した症例では80%と高率に検出されたことから、犬のGISTの病因にc-kit遺伝子変異が深く関与していることが示唆された。