日本家畜臨床学会誌
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短報
双子を分娩した乳牛における周産期の体型評価と分娩後の繁殖成績
望月 啓太渡辺 菜美小比類巻 正幸安藤 貴朗大塚 浩通渡辺 大作及川 正明
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2008 年 31 巻 3 号 p. 160-164

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抄録
牛における双子の分娩は増加傾向にあるが、双子の妊娠・分娩は過剰な生理的負担となる。本研究では、分娩前後のBCS、体重、体重変動率(WCR)、体格指数(BMI) の変化について双子分娩牛(双子群) と単子分娩牛(単子群) に分けて調査を行った。さらに、双子分娩が乳牛の生産性に及ぼす影響を明らかにするため、妊娠期間、死流産率、初回授精日数、初回授精による受胎率および廃用率についても比較を行った。その結果、BCSおよびWCRは分娩前2~1ヶ月において、単子群は増加傾向を示したのに対し、双子群では増加は認められなかった。さらに全期間で、BCSは単子群と比較して双子群が低値を示した。BMIは、分娩後1~2ヶ月において単子群と比べて双子群が低値を示す傾向にあった。分娩時の状況として、双子群では妊娠期間の短縮および死流産率の増加がみとめられた。また、双子群では分娩後の初回授精日数の延長、初回授精による受胎率の低下、分娩後の廃用率の増加がみられた。本研究の結果から、双子妊娠牛は分娩前のエネルギー要求量が高くなるにもかかわらず、摂取量が増加していないことがわかった。双子妊娠牛では周産期のダメージを軽減するために、乾乳後期の増飼や良質粗飼料の給与など、乾乳期からの個体ごとの飼養管理が重要であることが示唆された。
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© 2008 日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
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