東北家畜臨床研究会誌
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高能力牛群の疾病多発の要因に関する調査
血中ビタミンE濃度と体質との関係
中野 和光佐藤 修一佐藤 彪内野 富弥
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1991 年 14 巻 1 号 p. 27-32

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抄録
牛群検定成績における搾乳牛28頭の年間乳量が、1頭平均9,631kgの高能力牛群の病傷多発の背景に、個体の血中ビタミンE(VE)レベルが4μg/ml以下の牛が26頭中16頭(61.5%)であった。セレニウム(Se)の低下は3頭(11.5)%で、VE低下にSe低下が伴うと病性は、さらに増悪することが認められた。血中VEレベルの生理的変動は高齢牛と分娩前後、あるいは高能力なほど体内維持量が不足し低下を招き、潜在的にVEの低いレベルの牛は、健康牛群と高能力牛群の系統に並行してみられ、系統の差と個体の差のあることが観察された。特に高能力牛群では、系統的にPFとABC系統は、他の系統に比し易患性の体質をもった牛が多く、潜在的にVEの低レベルの牛が半数以上にみられた。また、系統のレベルの差でもあった。従って、これを体質として同定することができる。
病症多発の背景に血中VEの潜在性低下と、易患性体質が要因として介在しているため、根本的な病症多発の防止は、VEとSeの反応性疾患に対し、特に分娩前後におけるVEとSeの投与、あるいは、飼料添加や、体質改善のための交配を基本に、近交を避けることが必要であると考えられた。
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