東北家畜臨床研究会誌
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肥育和牛におけるSawdust Liverの病態分析
鈴木 直人岩瀬 厚角田 元成山野辺 浩根本 久
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1994 年 17 巻 2 号 p. 92-96

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抄録

異なる配合飼料で19ケ月飼育された、A飼料群64頭、B飼料群135頭の黒毛和種肥育牛199頭が血液学的および病理学的に検索された.10.1%(20頭)にSawdust Liverの発生を認め、A群では23.4%、B群では3.7%の発生率であり、A群で有意に高値を示した.肉眼的には肝臓表面及び割面に、針頭大から3mmの白色または暗赤色斑が散在しており、白色斑が40%、暗赤色斑15%、混在型45%の割合であった.組織学的には肝小葉に多発性壊死巣が見られ、好中球の浸潤、類洞の拡張、重度のうっ血を伴った肝細胞の凝固壊死が観察された.脾臓、腎臓、心臓、肺の臓器に著変はなく、肝病巣の嫌気性培養でも有意な菌は分離されなかった.血液学的には発生牛と非発生牛を比較すると、GOTが有意に高く、Seでは有意に低い値を示した.A飼料群とB飼料群との比較では、γ-GTP、コレステロール、肉質及びビタミンEでそれぞれ有意差が認められた.以上の事からSawdust Liver発症には餌の成分が誘因となっているのではないかと考えられた.

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