抄録
推定年齢3~4歳の経産ホルスタイン種搾乳牛で、皮膚に蹄様隆起物がみられた症例に遭遇した。病変は右側肩部の皮膚の白斑部における縦横10~15cm、高さ2~3cmの2つの爪状隆起物、およびそれを中心として線状に連なる高さ数mm程度の隆起物からなっていた。全身症状、血液検査所見などに著変は認められなかった。病理組織学的には隆起物において好酸性の角化組織の増殖、細胞の扁平化がみられ、隆起物と隣接した皮膚では表皮の肥厚と角化亢進がみられ、肥厚した表皮には、著明な有棘細胞の増数が認められた。これらの所見から、本症例の隆起物は表皮の角化亢進によるものと考えられ、皮角に類似していた。原因については特定できなかったが、病変が皮膚白斑部に限局していたことから、光線の影響による紫外線角化症が原発病変として推測された。