分娩後における乳清及び血清中免疫グロブリンG(IgG)濃度、豚萎縮性鼻炎(AR)、豚丹毒(SE)凝集抗体価の経時的推移を、母豚24頭を用いて調査した。乳清中IgGは、分娩0日が最も高く、42.5mg/mlと血清IgGの約3倍の値を示した。この後16日までは血清と同レベルで推移し、以降低下し20日で血清の半分になった。乳清中のAR抗体およびSE抗体は、それぞれ分娩後20日、分娩後10日まで検出可能であった。豚オーエスキー病ラテックス凝集抗体を、ワクチン接種豚の乳清38検体、未接種豚の乳清23検体を用いて調査した。ワクチン接種豚の乳清中抗体は分娩0日の9検体全てが陽性を示し、10日後の2検体も陽性を示した。酵素抗体法(ELISA)検査では、凝集抗体陽性の検体は全例ワクチン抗体と判断された。未接種豚の乳清23検体は全て抗体陰性であった。なお、野外抗体陽性6例の検査では、乳清中の抗体は血清と同じく野外抗体と判断された。
初乳は血清と同様の抗体検査が可能であり、初乳を用いた抗体検査は繁殖母豚群の抗体スクリーニングや疾病清浄化に向けて有効な方法と考えられた。