抄録
台湾,中国南部などの亜熱帯地域原産である外来種クリハラリス(Callosciurus erythraeus)が神奈川県南東部で増加している.本種が今後どのように分布を広げていくのかを知るために,冬期の低温が彼らの活動に与える影響を調査した.2002年5月から2006年3月までの調査期間,早朝1-2時間かけて,全長約2kmのセンサスルートを一定速度で歩き,目撃したリスを記録した.毎回,センサス開始時に気温を測定した.冬期(12月から3月)は,1時間あたりの目撃頭数と気温との間に有意な正の相関が認められ,温度の低い日には活動性が低くなること,0度以下の日には目撃されないことが明らかになった.従って,クリハラリスが日本で今後,分布拡大する際,冬期の温度は重要な制限要因となることが示唆された.