森林野生動物研究会誌
Online ISSN : 2424-1393
Print ISSN : 0916-8265
北海道における繁殖期の森林性鳥類の調査時期の検討
藤巻 裕蔵
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2009 年 34 巻 p. 12-15

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抄録
北海道における繁殖期の森林性鳥類の調査適期を知るために,森林4か所で2008年4月下旬から7月中旬にかけて4回のラインセンサスを行い,各時期の種数と観察個体数を比較した.各時期の種数は,4月下旬に総種数の45〜77%,5月中旬に67〜88%,6月上旬に63〜78%,7月上旬に50〜67%,7月中旬に45〜56%で,時期により有意に変化した.最も個体数の多かった時期の個体数に対する各時期の個体数の割合は,4月下旬に51〜79%,5月中旬に98〜100%,6月上旬に78〜100%,7月上旬に53〜80%,7月中旬に52〜70%と,種数の場合と同様に時期により有意に変化した.4月下旬には種数は少ないが,留鳥の個体数は他の月より多い傾向が見られた.これらの結果から,調査時期として7月は不適切で,夏鳥が渡来する5〜6月が適しており,留鳥と夏鳥の繁殖活動の最盛期を考慮すると,少なくとも5.6月に1回ずつ調査することが望ましい.
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© 2009 森林野生動物研究会
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