2015 年 40 巻 p. 29-34
2009年および2010年の5月下旬から7月上旬にかけて,山梨県南アルプス市の櫛形山で人工構造物をねぐらとしていたニホンウサギコウモリPlecotus sacrimontisの出産哺育集団が形成されるねぐらにおける群塊の位置と日中活動の調査を行い,出産前後の日中活動と出産行動についての知見を得た.群塊の最大個体数(幼獣を除く)は16頭であった.出産は群塊から離れて頭を上にした状態で行われ,出産に要する時間の平均は38分49秒で,最短が15分20秒,最長が72分53秒であった.妊娠個体と授乳個体が混在した期間は,活発な状態と不活発な状態が混成していた.出産時期は主に6月中旬から下旬に集中して行われた.