日本野生動物医学会誌
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研究短報
タンチョウの寄生蠕虫類調査
大島 由子吉野 智生水尾 愛志村 良治飯間 裕子上林 亜紀子長 雄一大沼 学村田 浩一浅川 満彦
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2014 年 19 巻 1 号 p. 31-35

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抄録
 2000年から 2009年の間に北海道内各地で傷病個体として回収された後、斃死したタンチョウ 75個体の寄生蠕虫類保有状況を調査した。57.3%から線虫 5種(Baruscapillaria sp.,Contracaecum sp.,Paracuaria aduncaSyncuaria sp.,Viktorocarasp.)および吸虫 2種(Echinostoma gotoiApatemon gracilis)の計 7種の蠕虫類のいずれかが検出された。 E. gotoiを除く 6種はタンチョウから初記録であり, Syncuaria sp.は日本初記録であった。得られた蠕虫類の中には Paracuaria属,Syncuaria属およびViktorocara属など,消化管潰瘍や腸炎の原因となる線虫が含まれたため,絶滅危惧種であるタンチョウの保護管理上,今後寄生虫のモニタリングが必要であると考えられた。
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© 2014 日本野生動物医学会
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