2021 年 26 巻 4 号 p. 135-141
鴨川シーワールドで長期飼育されていたシロイルカDelphinapterus leucasが腎機能障害により死亡した。腎臓には多数の結節が認められ,結節内部に石灰化した線虫虫体が集簇していた。右腎尿管には大型の線虫の寄生が認められ,形態観察および分子生物学的解析によりCrassicauda giliakianaと同定された。シロイルカの導入時に既に線虫が寄生しており,長期飼育中に腎臓内で死滅した成虫に対する反応として結節が形成され,腎機能障害が発生した可能性が考えられた。