日本野生動物医学会誌
Online ISSN : 2185-744X
Print ISSN : 1342-6133
ISSN-L : 1342-6133
研究短報
イヌ属3種の頭蓋と毛皮におけるサイズの関係
遠藤 秀紀酒井 健夫林 良博渡辺 一教松崎 美果佐々木 基樹
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 8 巻 1 号 p. 75-78

詳細
抄録

イヌ属の3種,オオカミ,コヨーテ,キンイロジャッカルの毛皮と頭蓋について,計63個体の標本から計測値を得た。3種において雌雄それぞれで毛皮頭部の基本的な計測項目と基底頭蓋長および頬骨弓最大幅の計測値を用いて散布図を作り,回帰値線を導いた。毛皮の計測値は乾燥状態に依存するため標準偏差が大きく,また骨計測値に対して相関性の低い計測部位が見られた。しかし毛皮と頭骨の計測値の間の統計学的関係は,今後イヌ属の毛皮標本からの集団の同定とサイズの推定が可能なことが確認された。本結果は,とりわけニホンオオカミのような絶滅集団のものとされる毛皮標本検討において比較基礎データとして有効である。

著者関連情報
© 2003 日本野生動物医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top