関西医科大学雑誌
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膵癌におけるIgG4陽性細胞について
福井 由理内田 一茂住本 貴美楠田 武生三好 秀明深田 憲将小藪 雅紀池浦 司坂口 雄沢島谷 昌明福井 寿朗松下 光伸高岡 亮西尾 彰功四方 伸明坂井田 紀子植村 芳子里井 壮平權 雅憲岡崎 和一
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キーワード: 膵癌, 自己免疫性膵炎, IgG4
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2014 年 65 巻 p. 19-24

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抄録

1型自己免疫性膵炎は膵臓の腫大,高IgG4血症,組織中のIgG4陽性形質細胞の浸潤を特徴とする疾患である.限局性膵腫大を呈するものは膵癌との鑑別が難しく手術を選択される症例がいまだに存在する.高IgG4血症は1型自己免疫性膵炎の特徴とされているが最近では膵癌症例においても高IgG4血症を認めるという報告もある.そこで膵癌との鑑別という観点から組織中のIgG4陽性細胞に注目し検討したところ,膵癌においてもIgG4陽性細胞が強拡1視野で10個を超える症例が癌部で5% (1/21),膵癌上流の閉塞性膵炎領域で10% (2/21) 認め,IgG4/IgG比率が40%を超える症例が癌部で9例 (43%),膵癌隣接部位で6例 (29%),膵癌上流の閉塞性膵炎領域で3例 (14%) 認めた.
近年超音波内視鏡 (EUS) を用いて膵疾患を診断することが多くなったが,膵癌上流の閉塞性膵炎においてIgG4陽性細胞を認めることより,EUS下生検などで得られる微少検体を用いてIgG4の免疫組織学的方法により膵癌と1型自己免疫性膵炎を鑑別する際は注意が必要である.

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© 2014 関西医科大学医学会
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