関西医科大学雑誌
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マウスの急性X線死に及ぼすMethyl-methioninesulfoniumchlorideの影響,特に腸粘膜障害との関連に関する考察
城戸 一哉
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1973 年 25 巻 1 号 p. 104-107

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抄録

無菌マウスと普通マウスの急性X線死に関する研究から松沢はその死因を造血系障害と腸壁障害に区別した.造血系障害死は両マウスとともに照射後1-12日前後に認められ,腸壁障害死は無菌マウスの場合7日前後に認められるという.普通マウスの腸上皮の寿命は2-3日である(QuasUer)に比べて,無菌マウスでは腺窩細胞が絨毛に移行する日時が普通マウスより長く(Sherman),且つ腸内感染のないことを考えれば,腸壁障害死が7日前後になつたことも理解される.無菌マウスによる松沢の実験成績をみると,照射後4日間は外見上の異常はほとんどなく,5日間を過ぎると運動減少し,下痢を始める,そしてシヨツク死するに至るという.著者はMethyhnethionine sulfonium chloride(以下,MMSCと略記する)をマウスに注射した場合,X線照射死に対して,防禦的効果を示すかどうかを検討したが,考慮すべき影響を有することを見出したので報告する.

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