関西医科大学雑誌
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AtropineとPapaverineの併用によるマウスの実験的便秘とBisacodyl,Casanthranol,硫酸マグネシウム,大黄およびThiamine誘導体の潟下作用についての検討
永田 充宏杉本 治良
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1973 年 25 巻 3 号 p. 300-321

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抄録

腸管の輸送運動におよぼす薬物の影響を検討する際に用いられている方法には,van Liereら,Reyneら, Levqらが報告していうように,炭素末や色素などの着色物質を経口投与し,その腸管内移行を追跡する方法や,Groteら,寺田ら,MillerらあるいはLau が報告しているように,排泄される便の形状,排便量,排便回数などを観察する方法tおよびそれらの改良法があり,いずれも外科的侵襲を加えることなく経口的に投与された物質の移動を基準にして,腸管の輸送運動におよぼす薬物作用を知るために用いられ,特に濾下薬のスクリーニングあるいは効力検定に用いられている.
著者らは下剤のスクリーニングを行なつた際,これらの方法に基いて検討を行なつたが,すでに臨床的に明らかにその効果が認められている薬物についても,実験的な効果を数量的に表わすことが極めて困難であることに気付いた.元来,緩下薬は腸管の輸送運動が低下した状態を改善し,正常な機能を回復させることを目的として使用されるべきものであつて,すでに正常な輸送運動を有する腸管の機能を正常以上に充進させる作用は期待されていないはずである.
本実験ではtvan Liereらが報告し,田中らによって改良された方法を用いて,緩下作用をもつとされている薬物および緩下作用を有するか否かをスクリーニングする必要のある薬物について効力検定を行なったが,あらかじめAtropineおよびPapaverineを同時投与し,腸管輸送運動を一旦低下させ,検討すべき薬物がこの低下した機能をどの程度正常に近づけ得るかを目標として実験を行なった.

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