近年,Minaminoらはマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)が血管内皮前駆細胞(EPC)を骨髄から末梢血に動員することにより虚血部位の血管数が増加し,血流が改善することを報告した.今回筆者らはM-CSFのEPC動員のメカニズムにっいて研究をおこなった.M-CSFはその受容体を発現している骨髄細胞,特に骨髄球系細胞に作用し,それらの細胞からの血管内皮成長因子(VEGF)の産生を増加させた.In vivoで抗VEGF抗体を投与すると,M-CSFによる血流改善効果とEPC動員効果が阻害された.これらの結果からM-CSFは骨髄内の骨髄球系細胞から産生されるVEGFを介してEPCを骨髄内から虚血部位に動員することにより,血流を改善させるということがわかった.