抄録
漢字の形態要素(漢字を構成している一つ一つの形のまとまり)を強調して提示することの効果を問う実験の結果を報告し、今後の調査計画について発表する。形態要素の組み合わせによってひとつの漢字が成り立っているということを意識したほうが、知覚、認知、短期記憶しやすいという仮説を立て、実験を実施した。結果は、予想に反して、形態要素を明示した場合としなかった場合の正答数の平均値に差は出なかった。次回は、形態要素を色分けするなどして、さらに形態要素を強調して提示し、知覚、認知、短期記憶過程に差が生じるかを探る予定である。尚、予備実験の結果は、平均正答数には差が出なかったが、対象漢字を色分けした場合、誤答はすべて対象漢字の形態要素を含むものであったのに対し、色分けしなかった場合はそのような傾向は見られなかった。