抄録
言語を考える上でその背後にある文化要因は無視できず、近年、日本語教育における文化教育の重要性が指摘されている。本稿では筑波大学留学生センターで実施した異文化理解プログラムの途中経過を報告する。本プログラムでは学習者が、1)自己、及び自己の中での日本語の位置づけを認識し、その上で、2)日本の文化や思想を理解し効果的な言語運用ができるようになる、ということを目的としている。また同時にこれらによる言語学習効果の促進も目指す。本異文化理解プログラムは、文化教育を日本語教育に組み入れることをねらいとしたものであり、文化教育の日本語教育における有効性を把握するためには、まず学習者の自文化の価値観での日本語及び日本文化の判断が、その日本語学習、学習態度、日本語運用、コミュニケーション活動等にどのような影響を与えるかを調査することが必要だと思われる。