抄録
理工系大学における実験・実技教育は、科学技術を実際の現象として理解し、かつ実践的技能を身に付ける上で必要不可欠な手段である。実験・実技は、使用する道具や操作の程度などについて、通常、口頭で指示や情報交換がなされる。したがって、理工系留学生に日常の日本語とは異なる、主として口頭で使用される科学技術日本語を早期に修得させることが重要となる。このため、物理・化学・数学の3分野から、文章や絵では理解しにくい、道具・現象・操作・程度・量等の基本用語・表現を選定し、1テーマ数分ずつのビデオ教材を作成した。本ビデオ教材は科学技術系用語の理解とコミュニケーション能力の向上を目的としたもので、「理工系の日本語コミュニケーション」のための教材といえる。また、用語選択は網羅的ではなく、ある一つの概念を持った関連用語群として、クラスにおける導入的役割を果たすものとした。