抄録
留学の魅力とは、現地の学校に通い、人と出会い、生活体験をすることにより、様々な社会経験をすることにある。しかし、コロナ禍によって、国境を越えた移動、キャンパスでの対面での学びや交流が難しくなり、留学の意味は大きく変わった。本稿はコロナ禍になってから2年が過ぎようとする 2021 年 12 月の時点で、日本の大学の授業を履修している留学生たち(国内に居住する留学生、海外からオンラインで受講している留学生)にアンケート調査を実施した。結果の分析では、留学生たちのコロナ禍での活動状況、ストレスや不安などについて明らかにするとともに、彼らが国際移動や人との対面接触が困難な時期の留学を通じてどのようなことを学び、変化したと感じたのかをレジリエンスの概念を援用して明らかにした。本稿はコロナ禍の留学生の経験を分析した3つのプロジェクトの1つで、本稿のアンケート調査結果、留学生の経験の言語化とソーシャルネットワークの分析(村田 2022a)、留学生による探索的なフィールドワークを通じた学び(村田 2022b)の3つの論考を通じて、留学生のコロナ禍での多様な経験と学びを明らかにした。