日本地すべり学会誌
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研究ノート
深度別地下水調査のための区間遮断構造ボアホール
奥山 武彦大塚 文哉菊池 茂史時田 剛弘黒田 清一郎有吉 充
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2007 年 43 巻 5 号 p. 307-311

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抄録
任意の深度区間で地下水水頭や流動量, 水質の測定を行うために, 5%の開孔率をもち, 1m毎に遮断帯を備えた保孔管を使用した観測井を施工した。水圧測定・採水用ゾンデは保孔管内部を区切るために5段のゴムパッカーを備えている。静岡県内の地すべり地の試験孔における測定では, 孔内水位以深の地下水水圧は静水圧分布より低い部分があり, また, 孔内水位以上の深度で正水圧が発生していた。降雨時の深さごとの水頭変化をとらえることができた。パッカーを装着した小型流量計ゾンデを使用して, 孔内鉛直流動量を精密に測定できる。パッカーを使用して深度別に採水した孔内水の酸化還元電位と電導度は, パッカーを使用しない場合より深度による違いが明瞭であった。本方式の試験孔では全深度を対象とした検層が可能である。地すべり斜面のような複雑な構造の地層で地下水の水頭や水質を評価するためには, 必要な深度毎に測定できる方法によることが必要である。
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© 2007 公益社団法人 日本地すべり学会
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