抄録
2004年9月28日から29日にかけて三重県の北側を通過した台風21号による豪雨を起因として,宮川村では多くの地すべり・崩壊が発生した。航空写真等で233箇所の地すべり・崩壊を抽出した結果,その大部分は崩壊であった。地すべり・崩壊の発生箇所と地質帯,累積降水量,最大時間降水量との関係を検討した結果,地すべり・崩壊は最大時間降水量が120~110mmの地区で多く発生したことが明らかとなったが,累積降水量との関係はあまり認められなかった。また,三波川帯と秩父帯では地すべり・崩壊の発生頻度に大きな差はなかったが,三波川帯では流れ盤で地すべり・崩壊が多く,秩父帯では受け盤で多かった。宮川村は多雨地区であり風化が斜面表層部に限られていたため,地すべりよりも崩壊が多く発生したことが原因と判明した。