地震を誘因として発生した地すべりと,降雨・融雪を誘因とする地すべりの発生・運動機構とすべり面の土質特性の違いを検討するため,すべり面構成土の粒度・コンシステンシー特性および,残留強度のせん断速度依存性を数多くの試料で調べた。その結果,降雨・融雪を誘因とする地すべりのすべり面構成土は,高粘土含有率で高塑性な粘性土が多く,せん断速度を上昇すると強度増加する特性がほとんどの試料で確認された。一方,地震を誘因とする地すべりのすべり面構成土は,せん断速度上昇により急激に強度低下する土質特性が全般的に認められた。以上のすべり面構成土の特性は,緩慢な活動を繰り返す地すべりと地震または豪雨により高速化する地すべりとの一般特性を示しており,運動特性の異なる地すべりの発生場の評価に活用できるものと考えられる。