地山を切り下げて形成される切土法面において, 風化の進行は表層崩壊などの発生要因となる場合がある。このため, 建設段階において地山の風化特性を考慮し, 植生工や法枠工, 吹付けコンクリート工などの法面保護工を適切に選択することが重要となるが, 切土法面の風化の実態については未解明な部分が多い。高速道路では, 切土法面の風化特性の把握を目的として, 全国で96箇所の切土法面を選定し, 建設段階から法面観察や弾性波探査, 速度検層などの調査を継続的に実施している。本論文は, このうち供用してから約40年間~50年間の計測データを蓄積した東北自動車道や東名高速道路, 中国自動車道の20箇所を対象として, 風化帯の安全率を算定し法面勾配や地質などの違いによる影響を評価した。