日本地すべり学会誌
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研究ノート
3次元地形情報を用いた深層学習による地すべり移動体抽出
-学習データに用いる地形図と抽出精度の関係-
古木 宏和
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2021 年 58 巻 2 号 p. 65-72

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抄録

 高解像の3次元地形情報はオープンデータ化が進められており, その活用先の一つに地形判読への適用がある。土砂災害を引き起こす自然現象の一つとなる地すべり地形の判読作業は, 高解像度化された地形情報を用いて抽出精度が向上した一方で判読作業に負担が伴う側面がある。本研究では高解像度の地形情報を効率的に解析する手法として, 深層学習を地すべり地形判読に適用した。学習データには, 等高線, 傾斜量図, CS立体図, 鮮鋭化したCS立体図の4種類の地形図を用いた。正解データは, (国研) 防災科学技術研究所1 : 50,000地すべり地形分布図とした。深層学習の結果, 最大80%の確率で地すべり移動体の抽出が可能であることが判明した。抽出精度は, カラー情報が多いCS立体図で高い傾向があり, さらに鮮鋭化処理を加えたCS立体図において最も高かった。3次元地形情報への深層学習の適用は, 技術者の判読作業・判断支援, 見落とし防止の効果が期待できる。

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© 2021 公益社団法人 日本地すべり学会
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