抄録
新潟県小出町四日町地すべり地とその周辺の踏査及びボーリングによる資料を解析し, 花粉分析や絶対年代の測定を加えることにより, 地すべり地の発達史を究明した。その結果, 次の諸点が明らかになった。
(1) 地すべり地形の発生は基盤岩の断層あるいは大崩壊によって始まった。
(2) この基盤地形の上を二次堆積物がおおうが, これは下位の還元層と上位の酸化層とに分けられ, 境界部に泥炭層等を介在することから, 両層は堆積の順序を示すものである。
(3) 泥炭層に含まれる花粉化石から当時の植生は亜高山帯性のものであり, ウルム氷期最盛期の堆積物であることが推定された。この泥炭の放射陸炭素による絶対年代は, 17,960±540年B.P.の値が得られ, 上記氷期の堆積物であることが確実になった。
(4) この泥炭層の形成前・後の地すべり地の変遷は, 図-10に示すとおりであるが, 今回の地すべりは碗状容器としての酸化層中で上昇した地下水が, 斜面先端部からあふれ出たことに始まり, 将来も同じ機構で地すべりがくり返されることが予測された。