抄録
第三紀層神戸層群域の神戸市K地区において, 地すべり斜面に施工されたC.I.P.杭の挙動を4年間継続測定し, 次の結果を得た。
1) 斜面上部の地下水位は, 降雨との間に時間遅れを持ちながら微小変動を繰り返した。斜面下部の地下水位変動は微小で降雨との間に相関が認められなかった。
2) 列杭の応力・中間杭の歪・測点の土圧と間隙水圧の変動と地下水位変動との間には相関が認められなかった。
3) φ・Cの僅かな条件差による杭挙動の差は小であった。
4) 曲げモーメントは杭固定点付近を最大値とし, 正負両領域にわたる減衰正弦波状分布を示した。
5) 杭の安全率は, 曲げモーメントと勢断力の両方に対して1.2以上の大きい値を示した。
6) 4年間の杭挙動継続測定値は, 杭が未だ破壊に至っていない事を示した。